私の信条として不自然なことをしないというのがあります.
例えば、電子レンジを使わないことです。
あれば、すごく便利なのはわかっています。
ガスの火を使うことなく、食材を温めたり、
調理もできます。
しかし、電気で温めたものが、何かもの足りない。
電子レンジで温めた料理は、確かに美味しい。
でも、何かが足りていない気がする。
電子レンジで調理したものだと、満足感がすくないような感じがします。
もしかしたら、科学的に調べれば何かわかるのかもしれません。
電子レンジがない生活は、普通に考えれば不便です。
私が不便だと思ったのは、
パンやお菓子を焼くことができないときでした。
一時、ムスイ鍋を使っていました。小型のオーブンになるし、
美味しくパンも焼けました。
しかし、サイズが小さくて、どうしてもオーブンがほしい。
そう思っていた矢先に、手に入れたのが、
なんと1974年のパナグリル。
家庭用のガスオーブンですが、火力が半端ない。
上下段からの火力、またパナグリルの上にヤカンでもおけば、
お湯も沸かすことができる。
どうやら、パン焼きとコーヒー、グラタンなどを同時に作れることが売りだったらしい。
フランスで食べた、フランスパンを食べたいと思っていたときに、
パナグリルは、まさに革命的なオーブンでした。
パナグリルの火力があるから、パリッと焼ける (最小の火力でですが。)
ああ、なるほど、オーブンレンジや電子レンジではできない料理があるんだな、と思った瞬間でした。
パンを食べたい日の前日に、手捏ねでパンをつくる。
そして、翌朝に整形してパンを焼く。
毎朝、焼き立てのパンとコーヒー。
二人で雑談しながら、一緒に食べていました。
もちろん、別に市販のパンでもできないことはない。
でも、希が毎朝、パンを口にしながら、微笑む姿は忘れられない。
パナグリルでパンを焼くと、強い火力で素材の味を暖かく、パリッとやいう焼いてくれる。
この温かい味が、希は大好きだった。
単に火を使う、
何かわからないけれども、美味しくする秘訣があるのだろう。
また、料理したくなる気持ちがあるのも、ガスオーブンの魅力だと思う。
いったい、これまでパナ食いリルで何回パンやピザを焼いたかわからない。
いつも美味しく、二人で笑顔になっていたのを、思い出す。